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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

キャリアのギャップを乗り越える事

私は入社時から、結構キャリアパスを明確に描いていた方だと思う。
「ITを企業のビジネススキームに合った形で導入し、絵図だけでなく、構築の完遂までのアクションプランまでを描ける」
そういった本質的なITコンサルタントになりたいと思っていた。

しかし、はじめからコンサルタントの道を歩むのは違うと感じていた。
事例を研究し、自分のスキルと照らし合わせ、最初からコンサルタントをやったところで
「果して実のある提案ができるのだろうか」と疑問を持ったためだ。


システム構築は、一朝一夕で出来る作業ではないことを理解していた。


顧客企業のビジネススキームを理解し、モデリングし、さらに論理モデルに落とし込んでいく。
ステークホルダーや現場を巻き込んでいき、プロジェクトを管理し、システムを完遂まで持っていく。
理屈ではわかっていても、そういった事が、現場でどうやって成されているか、
それをまず知りたかった。


しかし、実際に入社してみると描いている自分とのギャップに苦しむことになった。

最初に配属された部署は予算がなく、人員リソースが余った状態のため、常時定時退社。
任される仕事も仕様書の書き直しや部内サーバのインストール作業など補助的なものが多かった。
資格などの勉強や将来の技術の勉強には励めたが、いつも「足りない」と感じていた。


事業部長面談の際に、そのことを直訴し、自動車産業担当のグループに転属になった。
(こういった配慮をしていただいた事は、先日の成果発表会後の飲み会ではじめて知った。)


転属後、結構大きめなプロジェクトに配属された。
システムとしてはサプライチェーンマネジメントシステムにあたるものだ。


その際は、新人&プロパーという位置づけであることと、インフラに知識があったことで、
標準化&インフラチームに配置された。
アプリケーション開発がやりたかった私にとって、これまた、中途半端な位置づけであった。


また、納期とコストが厳しいプロジェクトであったため、張り詰めた雰囲気の中
周囲の事を吸収する余裕のない状態でプロジェクトは進んだ。


このあたりで、仕事に納得いかないことも多々あり、某転職紹介会社で
カウンセリングしてもらったこともあった。
とりあえず、自分の意識をシフトさせる機会を得たかったためだ。


結果、「今の会社で目に見える実績をあげるまでは辞められない」と決心した。


そもそも私は「仁義」を大切にするほうで、借りをつくった分はなんらかの形で返したい
との信念がある。
それが「会社」という実態のないものであってもそれは同じで、私の採用に関して
会社にペイするまでは辞められないと思った。


開き直って、戦略をたて、実行することにした。
「現状のタスクに不満を感じるなら、それを打破するための戦略を考え、それを実行しよう。」


営業とは違い、システムエンジニアは新人のうちは自ら仕事を探すことは難しい。
タスクの委譲などは会社ごとに分かれるだろうが、弊社においては最初は任せてもらう仕事の中から内容を掘り下げていく事で、仕事の全容を捉え、その上で自分が付加価値を出せる分野で存在感を上げていくことが大切なのではないかと感じた。


成果責任の大きいタスクを任されるためには、やはり日々の信頼の積み重ねが一番の近道だ。
そうやって、「会社がタスクを任せてくれない」ではなく、「あいつに任せよう」
と言わせる人財になることである。
「信頼」というものはベタだが、一番大切なこと。
そして、「信頼」を得るためには何をすればよいのか考えるべきだ。


システムエンジニアという職業は、一朝一夕でできるような職業ではないと感じる。
「プロジェクト管理」「インフラ、アプリケーション、データ設計、実装、テスト」
「顧客折衝」など行うべきことは多岐に渡るためだ。


だから、仕事のベースを押さえつつ、品質と納期の面で、周囲の期待以上のアウトプット
を出す事を継続的に行っていく必要がある。
そして、任されたタスクの中から周りまで掘り下げていく。
そのうち、自分でタスクを取りにいくことが出来るようになってくる。


しかし、なまじキャリアが見えていると、その過程においても自分のスキルと
現在のポジションのギャップに苦しむことになる。


一方で、やりたいことばかりやっていても、それが最短だとは限らないし、私は回り道を
したからこそ、考えをめぐらせ、深みが増すことをよく知っている。
例えば、そういった環境に置かざるを得ない同僚や部下の心情を理解することもできるだろう。


現在は情報過多であるため、多くの知識、そして誘惑が入ってくる。

    • 「知識」と「できる」の違い

多くの人は「知識」=「自分のスキル」と履き違えるが、「知識」と「できる事」は違う。
大学まではそうだったかもしれないが、社会人になってからは「知っている」だけでは「できない」のである。


例えば、ロジカルシンキングの講義を受けたから、ロジカルに考えられるようになるわけではなく、日々の実践の中で身につけるしかない。


PMBOKを覚えたからといって、明日からプロジェクトマネージャとして一線で活躍できるわけでもない。

頭の中で「知識」が有機的に結びつき、実践に移していってかつ成果を上げてこそ、
「できる」と言えるようになる。
それを意識し、実践を継続していくことが必要なのだ。


周囲が「あいつはこれができる」と理解していれば、思ったようにタスクを任せてもらえるもの。
だからこそ、自分が考えているキャリアパスに合った成長を考えるならば、
「それを成すためにどうすればよいのか」という問いに対する戦略の構築は必須である。

    • 転職市場の誘惑

現在は採用を自粛していた企業が好業績を上げるようになったが人が追いつかず、
人材不足に陥っていることもあり、転職市場は引く手あまたの状態である。


だから、違う会社に行けば、自分がやりたいことを実現できるのではないかとの誘惑に駆られてしまう人も多いだろう。


だが、一歩立ち止まって自分を客観視して欲しい。
果たして今、転職することは最善の道なのだろうか。


たがだが一、二年で業務の全容が分かっている気になっているだけではないのか。
その中で何を吸収できたのだろうか。


タスクを任されないなら、自分を客観視し、周囲を見て、冷静になることも大切だ。
今、あなたには何ができるのだろうか?