SI(≒受託開発)とファイブフォース分析(1. 新規参入、2. 敵対関係)
前回のエントリに続き、SIビジネスをファイブフォース分析してみる。
ファイブフォース分析の5つの視点
- 新規参入
- 敵対関係
- 代替品
- 買い手
- 供給業者
今回は、以下について述べる。
- 新規参入
- 敵対関係
- 新規参入の脅威
SIは与信など、信用力がモノを言う。
システム構築中、本番運用後にシステム構築受託会社が
つぶれてしまってはクライアント側のリスクが高いからだ。
よって、日本のベンチャーなどは競合になりにくい。
新規参入でいえば、カテゴリ特化型に限定される。
一方、海外での新規参入はインドのSIerが挙げられる。
具体的には「TCS」「Infosys」「Satyam」などである。
インドは上流コンサルテーションに踏み入ってきている。
例えば、インドのソフトウェア産業の雄であるInfosysは
「IBMの半額でアウトソースできます」を謳い文句に米国で
IBMのクライアントを奪い取っている。
そして、この流れは他の大手ベンダにとっても同様だ。
対策としてIBM、アクセンチュアなどは積極的にインドの子会社に投資を
行い、このアウトソーシング顧客獲得競争に対抗しようとしている。
また、インドの年齢構造は綺麗なピラミッド型(△)であり、今後の
競争力においても脅威である。
中国に関しては、上流フェーズに踏み込む提案力や設計力がないため、
SIビジネスをねごそぎ持っていかれる脅威はまだない。
脅威があるとすれば、対象は製造フェーズ以降にしか関与しない
受託開発型ソフトウェア会社にとってである。
- 業界内の競合企業との敵対関係
実際、SIビジネスの売上のほとんどはRFP以後のフェーズだと思う。
そのため、このパート以外は、「RFP以後」のみを対象として記述している。
1. RFP以前
クライアントのビジネスモデルからシステム戦略に踏み入った提案から運用まで、
ワンストップにシステムを提供できる体制をベンダが作る事ができれば、
競争優位性がある。
そのベンダはクライアント企業のパートナーとして
中長期に渡って関係を作っていく事ができるだろう。
実態は大手ベンダでもシステム戦略までは、踏み入っているとは言えない。
(表面上はそう謳ってはいるが)
コンサルティングファームを併合して、その部分にきっちり
踏み込んでいけるか。がSIerにとって今後のミッションである。
しかし、現実はそう易くないようだ。
一方、この部分の価値注力に失敗したSIerはRFP以後の関与しかできず、
今後苦戦を強いられる事となろう。
その理由は各論になるため、以下にて述べる。
2. RFP以降
SIにおいては、各企業毎のソリューションにさほど違いはない。
周りを見渡すと、各社ともにコスト差を上回るほど価値のあるソリューション提案
をする事が、難しくなってきているのが実情である。
ここには「オープンシステム化」や「OSSの台頭」が要因として挙げられる。
あるとすれば、人材依存での優位性である。
(経験がある、信頼があるなど)
しかし、ナレッジワーカーは流動性があるため、
中期的な競争力といった意味ではあまり期待できない。