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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

環境を整える事は非常にスキルフルな人材を必要とする


「環境が整っている上で、やるべき人がやるべき事をやれば事業は回る」
と私は固く信じるようになった。
これはベンチャー企業だろうが、大企業だろうが変わらない真理だと思う。


環境を整える。


つまりはそれが、企業における「採用」であり、プロジェクトにおける「アサインメント」。
運用においてはそれぞれ「人事」、そして「ディレクション」「リソースマネジメント」。
これは「」の側面から見た場合。



そして、「」の側面から見た場合。
それは「金をかき集める事」であり、「PL/BS/CFをPDCAでまわす事」である。


モノ」はモノ社会からコト社会に変遷するにあたって、
あまり重要なものではなくなってきた。


「人」「モノ」「金」これらをきっちり設計して始めなければ、
プロジェクトは火を噴く。
逆にきっちり設計されていれば結構なんとかなる。
遅れても取り戻せる。
「事業計画」に関しても「人」が設計され、適切に配置されていれば、
ドラフトのみで十分であり、後は人に任せられる。


いや、「事業計画がきっちり設計されていればいいでしょ。」
と言われるかもしれない。
一理あるが、それだと事業を成長させることは難しい。
事業運営上のあらゆるファクターを吸収し、取り込んでいく必要があるからだ。


実際のケースの話をすると例えば、企業再生を行う際は、
まず出血を止め、環境を整え、成長する要素に投資するというサイクルを
つくる。
「環境」が設計されていなければ血を流し続けているのと同じである。
そこで、企業再生においてはまず「人」を投入する。


まずは「ターンアラウンドマネージャー(企業再生請負人)」と言われる人だ。
日産においては、カルロス・ゴーン氏。
クラシエ(化粧品部門以外の元カネボウ)においては、小森哲郎氏。
IBMにおいては、ルイス・ガースナー氏
GEにおいては、ジャック・ウェルチ氏。


また、「リストラクチャリング」にあたる際、必ずしもトップ・マネジメントを
入れ替えるとは限らない。


ファンドであるカーライル・グループウィルコム(旧DDIポケット)を
再生した際は、トップ・マネジメントはそのまま据え置いた。
カーライルは再生前のトップ・マネジメントはふさわしいものだと判断し、
他の環境である「モノ」や「金」を用意したわけだ。
もちろん、カーライル自身がアドバイザとして機能しているため、
「人」の面も投入したと言えるだろう。


そして、彼らが「人」「モノ」「金」を設計し直す。
それがいわゆる「リストラクチャリング(クビではなく再構築)」である。


時に人員解雇も発生するが、クビの対象としては、人だけではなく不動産や
有価証券、子会社などにも適用される。つまり、「金」の面を重視した舵きりになる。


そして、その「責任」は日本の政治を見ていてもわかるように、
「今」ではなく「過去」の判断にある。


こういった「リストラクチャリング」のためのプロセスを「シュリンク&グロウス」
とマッキンゼーでは言うらしい。
一度、縮小させて、再生へ乗り出すというわけだ。


はっきり言って半端なものを続けるくらいならゼロからの方が
ましなのである。


この事実は、企業再生のプロジェクトストーリー話や
知人の企業再生コンサルタントの話を聞けばわかる。


私は幸運な事に、前職でその本質を一部学ぶ事ができたと思っている。
ゼロからのプロジェクト設計も行い、既存のやり方を変更し、
やるべき事をやっていかなったがために生まれた背負うべきではない責務を
不条理に背負ってまでも、そこそこ成功した。


プロジェクトを成功させるには環境の設計から
徹底しないといけないんだという学びがあった。


各論も大事だけれど、総論で「環境」をつくっておかないと
何が正で何が負なのかわからずに突っ走る事になる。


しかし、この「環境」づくりが非常に難しい


マネジメントができない/不得意な人が上に立つと
本来注ぐべきところにリソースを注げない事象が起こり、
事業は本来のスピードを失う。
「事業計画」がおそまつでも、そこがしっかりしていれば、立ち行く。


そして、不運なのは、「環境」が未整備である事が「見える」
のはそういったスキルを持った人だけというどうしようもない事実である。


そこまで見通す事は非常に難しい。
ケースばかり勉強して頭でっかちになると、そういった本質的な部分から
目がそれてしまいがちになるのかもしれない。
同じビジネスモデルをやったとしてもその設計の差がどうしようもないほどの
競争優位性を生むのだ。
ケースから把握できるほとんどが「外からの見た目」だけの事なのである。


設計部分に関しては非常にスキルフルな人材を必要とするし、
運用のマネジメントサイドもスキルフルである必要がある。


だから、「何をやるか」より「誰とやるか」が重要。


自分もまだまだ甘いし、走り抜けないといけない。
頑張らないと。戦略的に。