アイトラッキングとPOSデータ
以前、私はセブンイレブンがPOSデータを仕入れの精度を上げるために
使用している事を聞いて感銘を受けた。
しかし、あるときに社長の鈴木敏文さんがこう言っていて、唸ってしまった。
POSデータは現在あるものに対してのソリューションしか出せない。
ある日、「こんぶのおにぎり」が売れていたとする。
POSデータから判断すると、「同じコンディションの日は
「こんぶのおにぎり」を入荷しよう」というソリューションになる。
しかし、実際にはお客様は「梅のおにぎり」が欲しかったのかもしれない。
妥協して「こんぶのおにぎり」を買ったのかもしれない。
そういった「あるべきなのになかった」商品に対する洞察からくる
ソリューションはPOSデータには出来ない。
人間にしか出来ないものだ。
アクセス解析やアイトラッキングにも同様の事が言えると思う。
ありもののデータからの分析に加え、起こるべきだった事象に対し、いかに仮説を立て、ソリューションを導けるか。
そういった事を導くためにはやはり「人類学」「社会学」「心理学」
的な視点が必要である。
つまりは「他人にどれだけ興味をもてて、かつ他人の視線になれるか」である。
が、自己中心的であったり、データやテクノロジーに翻弄されると
そこが見えなくなる。
WebがFLASH/AJAXというインフラを手に入れ、
そういった「人の琴線に触れる表現」を可能にした。
「バスキュール」や「ビジネス・アーキテクツ」、「tha」
などのWEBプロダクションや「GT.inc」「佐藤可士和」などの
クリエイティブ/アートディレクターがキャンペーンを次々と
成功させていくのも、こういった本質的には欠かさざるべき分野を
きちんとクリエイティブに反映させているからだと思う。
そして、Windows VistaがMac OS X Leopardに、
SonyのウォークマンがAppleに勝てないであろう
理由もそこにあるんだろう。