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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

Webにあふれる情報がもたらす知識労働者の変化(1/2)


書籍から得られるプロフェッショナルや先人の意見は尊いという事は
前回のエントリに書いた。

書籍に書かれている事に対し、感動をするだけではなく、
種々の提言や判断において、「何を根拠にしたのか?経緯は?」
種々の実行において、「何が障害になり、どう乗り越えたのか?」
といった事を読み解かなければならない。


読みながら常に当事者意識で物事を考えれば、その経験の一部を
確実に自分の経験に代える事ができる。


読書は学習を加速度的に向上させる
via makoto_way’s Diary - Blogging for Business/AD/Marketing
http://d.hatena.ne.jp/makoto_way/20080510/p1


一方で「情報はWebにあふれており、そこから得る情報はどうなんだ?」
といった問いもあるかと思う。


私はWebにあふれる情報は知識労働者に変化を余儀なくさせる事を
確信している。


そこで、Webという情報入手元について、2部にわけて考えてみる。
今回は、「Webの変化」について記載する。

Webの変化


Webの世界は刻々と変化をし続けている。
それはB2Cのサービス提供の観点からもそうだし、
広告におけるWebキャンペーンもそうだ。


理由としては、Webにおいて手に入れられる情報が大きく変わった事が
挙げられる。
その要因は、大きく分けて2点あるものと思われる。



Googleにより、引き起こされた情報を検索するというパラダイムシフト


1点目はGoogleが引き起こした変化である。


私は「Google以後」の人間であって、インターネットの使いはじめから
Google検索」を使って検索するのが当たり前だったので、
あまり「変化」としては受け取っていないが、「検索」がなかった頃の
インターネットを考えるとそのインパクトは想像に難くない。


私がインターネットに繋いだのは2002年末くらいで大分遅いんだけれど、
初めて繋いだ日の「感動」は忘れられない。


「うわっ、なんでもできるじゃん!」
と思って、すごく興奮したのを覚えている。


当時、情報工学を専攻していた学生であり、「C言語」、「HTML」、
javascript」を覚えようとやっきになっていたので、
Googleの検索窓に「C言語」とか「Webサイト HTML」などのワードで
検索してみた。
すると、結構詳しいコンテンツが出てきまくるわけで。


私にとって、密度の濃い情報入手先として
書籍と直接的な知人、学校の授業や教授だけだったわけだけれども、
それ以外で情報を得られるフィールドとして「Web」が加わった瞬間
だった。


その時、これからの知識社会において、
「Web」をどう使うか?という観点は後で大きな差を生むだろうな。
という直感がこの時生まれたのかもしれない。


とはいえ、インターネットに繋いだ当初は例に漏れず怪しいサイトを
徘徊して回ったりしたわけだけれども(笑)


GoogleがWebの最先端を「検索」というキラーアプリケーションを
もってビジョナリーとして突っ走ってきたおかげで、Webの変化を加速させた。
その一端がWeb2.0であると言える。


この変化の詳細の一連を記載した書籍が梅田望夫氏の「Web進化論」
「Web時代をゆく」である。


この書籍は、下記の理由によりおすすめ。

  • 私がなんとなく理解していた事が明文化されている事。
  • 前者に関しては、ベストセラーになっており、Web寄りな人間ではなく、一般人にも読まれている事。とりわけ、世間一般のWebに対する興味と断絶ぶりを思い知った事。
Web2.0が引き起こしたパラダイムシフト


2点目はWeb2.0が引き起こした変化である。


Web2.0において、個人的に最も大きな変化と感じている事は
「個人が発する等身大の意見や判断、制作物をWeb上に簡単にアップできるようになり、アクセスできるようになった」
事である。


これには、広告業界の人もギャーギャー騒いでいて、
「マスメディア不要論」がぶちあげられたり、
「テレビCM崩壊」*1という書籍が出てしまうくらい、大きなトピックとなった。


以下、意見/判断/制作物をアップ、アクセスする仕組みを実現したプラットフォームを挙げる。

  • 意見

「ブログ」や「ミニブログ」、「SNS」などのテキスト投稿システム。
人力検索はてな」や「OK Wave」などQ&Aシステムもこれにあたる。

  • 判断

ソーシャルブックマーク」のクリッピングシステム。
「Yahoo Buzz!」などの投票システム。

  • 制作物

「ブログ」などのテキストはもちろん、
ニコニコ動画Youtube、filmoなどにアップされる動画。
「Flicker」の写真や絵画などのアート。
SNS(特にMyspace)」の音楽を投稿するための
コンテンツ投稿システム。


そして、サービス提供各社は上記のプラットフォームに加え、
ユーザーのコンテンツ提供におけるモチベーションを上げる事
やっきになっている。
そのソリューションとして、トラフィックやコメントを稼ぐための仕組みを
提供している。


具体的には、ランキング機能はもちろんの事、

mixi』の「ニュースネタ投稿機能」。
『アメブロ』の「あしあと機能」「読者登録機能」。
はてブ』の「ホッテントリ」。
『ニコ動』の「コメント機能」。
Youtube』の「タグによる外部プレイヤー機能」。
『Myspace』の「投稿した音楽コンテンツの表示インターフェース」。

などがある。


ただ、上記システムを流行らせた大前提としてコンテンツをブログのエントリ毎など
小さな単位でWebの異なるプラットフォームへ持ち運べる
マイクロコンテンツ化」があった事を忘れてはならない。


また、その「マイクロコンテンツ化」した「コンテンツ」に対し、
検索エンジンの検索結果から直接アクセスできるようになっている事も
「ユーザーのモチベーション」に大きく貢献している。


ここに、Googleがもたらした、検索を「普通」にした事による貢献が
見て取れる。


上記のメリットについては、サイバーエージェントの藤田社長が
わかりやすく語っている。

ブログの最大のメリットは回遊性にあり、知らない人がリンクを辿って訪れてくる可能性こそがブログの魅力であり、そこをもっと強化していきたい。


アメブロが大成功狙える時期にきた--サイバーエージェント藤田社長に聞く
via CNET Japan
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20372213-2,00.htm

まとめ


まとめるとGoogleWeb2.0が引き起こしたパラダイムシフトが知識労働者における
情報収集(Input)/処理(Process)/出力(Output)のサイクルにおいて、
今までに無いまったく新しい環境を提供した


本当に素晴らしいパラダイムシフトだと思う。
個人的には。


このパラダイムシフトに関しては、日本国内において一番メッセージを
発してきた梅田望夫氏のエントリがうまく表現していると思う。

つまり、まずは旧来の整理をグーグルに任せ、知的生産のスタートに
必要な情報の整理に集中し、知的生活のための時間と「ネタ」を
確保しましょう。そして次に文章を書き、ウェブで公開する。
すると創発的な、知の共同作業のような状況が生まれる。
今度はそれをフィードバックし、新たな知的生産に繋げる。


 こういった知的活動のプロセスが万人に開かれ、
個の知的生産能力が大きくパワーアップされたのが今の時代です。
グーグルの創業者たちが「世界はより良い場所になってきている」
「興奮すべき素晴らしい時代だ」と言うのは、こういう状況を
指しているのです。


グーグルに淘汰されない知的生産術
via My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080509


が、その結果、Webに現れるようになった個人が発する等身大の意見や判断が、
これまでの情報や書籍とはどう違うのかについては具体的に知っておく必要がある。
この部分について、次のエントリで記載したい。


<続く>

■参考サイト

読書は学習を加速度的に向上させる
via makoto_way’s Diary - Blogging for Business/AD/Marketing
http://d.hatena.ne.jp/makoto_way/20080510/p1


アメブロが大成功狙える時期にきた--サイバーエージェント藤田社長に聞く
via CNET Japan
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20372213-2,00.htm


グーグルに淘汰されない知的生産術
via My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080509


■書籍

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)


テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0

テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0


*1:いや、それは極論すぎないか?という反論も書籍「明日の広告」などでなされている。