GREE上場!GREEのファイナンススキームを分析してみる。
上場にともない、120万株を公募し、243万株を売り出す(オーバーアロットメントは40万株)。
売出株放出元は
- Apax Globis Japan Fund, L.P.が118万株、
- 代表取締役社長の田中良和氏が100万株、
- 取締役 執行役員副社長 メディア企画部長の山岸広太郎氏が25万株。
「Apax Globis Japan Fund, L.P.」はグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)の第2号ファンド。
GCPのポートフォリオ一覧はこちら。
ライフネット生命も入ってるんですね。
他、友人の勤めている会社もあって、びっくりしました。
今回、グリーへの参画ステージとしてはGCPの投資対象ステージで定義されている「Early Stage」からの参画だと言えるでしょう。*1
そして、
GCPの投資方針としては
- (1)リード・インベスター(主幹事投資会社)であること、
- (2)投資金額は原則1億円以上であること、
- (3)社外取締役(または取締役会オブザーバー)として経営参画できる権利があることが前提条件です。
とあり、グリーの沿革に
「2006/07 第三者割当増資を実施し、資本金を2億4,216万円に増資」
とあるため、ここでGCPの資本が入り、リードインベスターとなった可能性が高い。
2008年02月14日追記:このタイミングで資本を入れたのはKDDIですね。GCPは2005年7月に資本を入れています。
そして、2006年7月はCFOの青柳氏がジョインしたタイミングと同じタイミングなんですよね。
もっと前のようです。
何にせよ、彼が2006年7月以降、ファイナンスのキーマンになっている事が想定されます。事業上でも
- 2006年11月に「au one GREE」リリース。
- 2007年3月にユーザー100万人突破。
と後の快進撃の始まりが感じられます。その後の驚異的なユーザー数の伸びは言わずもがな。
増資した資本をもって、岸部四朗さんで有名なマスメディアへの広告や販促などマーケティング費に投下していったのでしょう。
今回のグリーの上場、そのハンズオンによる(であろう)事業の伸びは、ベンチャーキャピタルによるファイナンスが、見事に功を奏した一例と言えるのではないでしょうか。
一方で、この市況環境が悪いときに上場してしまうのは、GCPの成績が少なからず関わってるんじゃないかと思います。12月決算なのかはわかりませんけれども。
また、成長余地を残しているうちに上場するという事かもしれません。
mixiやモバゲーを見る限り、SNSに入会する会員は1,500-2,000万人程度が上限のように思えます。*2
よって、GREEの会員数が既に1,000万人に届いてしまうように、かなり早い成長曲線を描いている事を考えると、このあたりで上場しないと、上場したとたん成長が止まってしまうという危惧も考えられます。
であれば、成長余地を存分に残しているうちに上場し、市場に成長度を示していくというのもありでしょう。
ただ、今回の上場は公募120万株、売り出し243万株、売り出し株数が公募株数の2倍を超えてしまっていますから、成長原資としての上場というか、売り出しのための上場と見られてもおかしくはない。*3
もちろん、事業上の数値から考えると今後も成長が期待されますし、CFOがいる限り、適切な事業投資が望めるでしょう。
さて、これらの要素を市場はどう評価し、どんな値がつくでしょうか。