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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

プロジェクトマネジメントの基本


プロジェクトマネジメントは簡単に使われつつも、以外と本質が理解されていない言葉の1つだろう。
本エントリーでは、PMBOK3版をベースに、経験に基づいた形でプロジェクトマネジメントの基本を記載していく。

プロジェクトマネジメントの3大要素


プロジェクトマネジメントの基本として、下記3点が挙げられる。

  1. 時間・納期
  2. 資源(ヒト、モノ、金、情報)
  3. スコープ・品質

これらをそれぞれという変数と見なすとそれらはすべて密接に絡み合う。


いくつかのパターンを挙げてみる。

  • 時間・納期を短くしするパターンに対する対応
    • 資源を増やす
    • スコープをせばめて対象範囲を少なくする
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)
  • 資源(ヒト、モノ、金、情報)を少なくするパターンに対する対応
    • 時間(残業)を増やす、納期を伸ばす
    • スコープをせばめて対象範囲を少なくする
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)
  • スコープを拡げるパターンに対する対応
    • 時間(残業)を増やす、納期を伸ばす
    • 資源を増やす
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)


一般的に、プロジェクトマネージャはこれらのバランスを考えながら、それぞれの変数を最大化しつつ、リスクを最小化する道を判断し、進めていく。

プロジェクトマネジメントの9つの知識エリア


プロジェクトマネジメントの知識エリアとして、下記9点が挙げられる。

  1. 統合管理
  2. スコープ管理
  3. スケジュール管理
  4. コスト管理
  5. 品質管理
  6. 組織管理
  7. コミュニケーション管理
  8. リスク管理
  9. 調達管理


これらの知識エリアを兼ね合わせ、立ち上げ、計画、監視、終結のプロセスに合わせて、時間・資源・スコープを調整するための各施策を打つ。
このために必要なコストが、プロジェクトマネジメントコストである。


また、各施策を打つために、様々なナレッジが必要になってくる。
当然、プロジェクトマネージャー自身が統合できるだけのナレッジを持っている必要があり、不足しているようならそのナレッジを調達する手段を確保しなければならない。

プロジェクトマネジメントコスト


プロジェクトマネージャのコストの9割はコミュニケーションコストとされる。


それほどに各要素を統合し、マネジメントしていく事にはコストがかかるという事であり、プロジェクトマネージャの頭の中だけで、判断していくだけではなく、調整に時間をかける必要があるという事だ。
一方、プロジェクトマネジメントの経験がない場合、あまり理解されないコストでもある。


例えば、調整に関するコストに関して言えば、

  • プロジェクトメンバーの暗黙知、スキルセット
  • 組織の承認プロセスに関するコスト

が大きく影響してくる。それらのコストが小さければ、プロジェクトマネージャは他の箇所に工数を使う事ができる。

プロジェクトの成否とプロジェクトマネジメント


結果から見ると成功すれば、当然と見られ、失敗するとプロジェクトマネジメントがよくなかった。とされるケースが多い。
それほどに見えづらいプロセスであるため、プロジェクトマネージャは適切に評価されるために資料化し、見える化する義務を持つ。


プロジェクトマネジメントの成否は計画プロセス終了時点にてほとんど決まっているというほどに、立ち上げと計画プロセスは重要である。
もちろん、進捗管理などのプロセスである監視プロセスは大事だが、どちらかというと監視の結果、再計画を立てるPDCAサイクルの一貫として重要だと考えている。


なぜなら、計画プロセスが終了した時点で、スコープの調整、資源調達計画、WBSの策定、リソースの配備やリスクの把握は大体終わっているべきで、その精度が高ければプロジェクトは順調に進む。一方、精度が低いと監視プロセスにスケジュールやリソースに頻繁に変更が発生し、手戻りや過剰・不足リソースが発生。それらが余計なコストを発生させてしまう。

最後に


ざーっと書いてはみたものの、プロジェクトマネージャーの担当する範囲は非常に多岐に渡る。


現在、ほとんどの業務が有期性があり独自性があるという意味で「プロジェクト」と言える。
一方、しっかりとプロジェクトマネジメントしているのは極少数だと言えるだろう。
業界外に出てみて初めて分かったんだけれども、SIer業界は、プロジェクトマネジメントに対する意識と業務がかなり進んでいる。


少子化と経済縮小により、日本がグローバル化を進めていく過程で、ツーカーの効かないプロジェクトメンバーと共に働いていく機会はますます増えていく。
その時、プロジェクトマネジメントのスキルはより必要とされるだろう。