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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

R25のコンセプトメイキングにおける戦略的アプローチ(書評)

「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)

「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)


を読みました。

本書の内容


R25は都内の駅などで配布されているフリーペーパーで、
M1層(20-34歳男性)をターゲットとしたメディアです。


2004年に市場に投入され、
現在は、L25というF1層向け兄弟メディアも登場しました。


本書の内容としてはR25のコンセプトメイキングから発行・広告商品確立までの
過程が具体的に書かれており、その中での過程における工夫や
過程を経て得た結果を持っての戦略的な判断が記載されていきます。


非常に臨場感がある内容で、自分の仕事と照らし合わせながら、
面白く読み進めていけました。

M1層のインサイト


R25のコンセプトメイキングの過程では、主に下記から
M1層のインサイトを得ています。

  • 定量調査:10,000名を対象としたインターネット調査
  • 定性調査:200名を対象としたグループインタビュー(飲み屋でのディスカッション含む)


その中で、著者が得たM1層のもやもやとしたインサイトは

  • ホントのホントの本音は、親友にもなかなか話せない
  • 自分のニーズをうまく言葉にできない
    • 聞くとそれなりに答えるが、真のニーズではなく空気を読んだ答えになってしまう
  • 新聞を読んでいないが、「日経新聞を読んでいる」と答えてしまう
    • 読まないといけないとは感じている
  • 点のニュースは読んでいるが、深く解釈できていない
    • 解釈したいと感じている
  • 触れるのは、仕事場では仕事に関する情報で家では趣味に関する情報
    • 「帰りの電車」は穴場

定量調査では出なかった答えも含まれており、定量調査の結果に疑問を感じた著者が
セグメントされたグループインタビューにて次々と明らかにしていったもの。


この点、かなり参考になりました。
定性調査と定量調査をうまく使い分けて、インサイトを取り込む事が
ターゲットに適切に評価されるメディアにつながっているわけです。


また、「帰りの電車」で読まれるメディアとして定義したが故に、
広告主や配布場所についてブレなく意思決定できている点は面白いですね。


M1層のインサイトに関しては、下記の書籍も参考になります。

オトコの仮面消費 (McCANN ERICKSON INSIGHT SERIES)

オトコの仮面消費 (McCANN ERICKSON INSIGHT SERIES)

明確なロジックから新規事業が生み出されている


リクルート「創刊男」の大ヒット発想術 (日経ビジネス人文庫)

リクルート「創刊男」の大ヒット発想術 (日経ビジネス人文庫)


R25の事業立ち上げ過程に関しては、この書籍にも共通している点が多々あり、
リクルートの新規事業立案プロセスが垣間みられます。


特別な事は何もありませんが、ターゲットを理解し、
コンセプトメイキングの過程を
何よりも重視している事が非常に特徴的だと思います。


コンセプトはそのままデザインや広告商品に
反映されていきますので、ここがダメだと後工程も諸々ブレが出る形
になってしまいます。

プロジェクトマネージメント


アイデアの立案者とアイデアを立ち上げ・導入まで
持っていく人を、わけている事も特徴でしょう。
(近代の経営モデルでは普通な事だが、日本では珍しいと思う)


著者の藤井氏はR25事業の立ち上げのプロジェクトマネージャとになるか
と思いますが、下記の業務を適切にこなし、アイデアを
市場に評価される形まで持っていったと言え、
その業績は素晴らしいの一言に尽きます。
・コンセプトメイキング
ファシリテーション
・リソースの調達
・スケジュール調整


テクノロジーやマーケット、機会も大切ですが、それを適切に
落とし込むプロマネも、また必要なものですね。

まとめ


本著は改めて色々と考えさせられる内容で、自分の中でプロジェクトの
優先度が少し変わりました。
新規事業の立ち上げやイノベーティブなサービスを担当されている方は
是非ご一読を。

WEBクリエイターの求人サイト"MOREWORKS"launch


WEBクリエイターの求人サイトMOREWORKS
がlaunchしたようです。


見た目がRichなのもさることながら、
"制作事例から探せる"のが非常にいいですね。
URLやキーワードから制作事例を検索可能です。


また、"ポートフォリオ"を自動作成する機能もあるようです。
既存の採用サイトはテキストベースの履歴書のみの登録となるため、
制作物をもって評価されるクリエイターにはfitしていません。
そういったところをうまく突いていますね。
さすがは自らもWebプロダクションであるFICCさんです。


また、そのネットワーク力を活かして、
バスキュールをはじめとして、早々に一級のメンツがそろっています。


FindJobが競合になるのでしょうか。
おそらくユーザーの立場からするとMOREWORKSの方がいいですよね。


案件の検索機能は、制作会社を選定する際のWebプロダクションの検索にも使えそうです。
今後に期待ですね。

DS/Wiiはなぜ体験価値向上を目指すのか?


今度のDSマリオでは息を吹きかけると
クッパが炎をはくみたいだ。


毎度ながら、任天堂はインタラクティブ性の演出に
こだわっているなと思う。


DSはボタンじゃなく、タッチペンで操作するし、
Wiiはヌンチャクコントローラと赤外線で、
いろんなアクションを感知できるようになっている。


十字キーとタッチペン・ヌンチャクでは、
その位置までカーソルを持っていくのか、
手/腕をもっていくのかの違いがある。


どうして、任天堂はコントローラにこだわるのか?


近年、受け取る情報量の増加、ライフスタイルの多様化など
の要因により、メディアの時間の奪い合いが起こっている。


それはゲーム機も同じ事で、いかに印象づけられるかが勝負になる。
使ってもらう時間、思い出してもらう時間をいかに増やすか。


それを「面白いゲーム・コンテンツを出す」
ことだけでは解決できなくなった。


なので、ユーザーに自機を印象づけるものとして
コントローラの「体験価値」にこだわってるんだろう。
そして、何より独自仕様のコントローラは携帯電話には実現できない


余談だけれど、ディズニーランド・シーでも、
意識して体験価値をつくってるのかなーと思った。


水がかかったりとか、
座席の下の仕掛けが足にさわったりとか。
また、CGでもよさそうなのにあえてCGじゃなく、
人が毎回演劇をやっていたりするアトラクションがあったりした。


アトラクションはAtract。
人の気持ちを惹き付けなくてはいけない。
それは場外であっても、である。

デザインに秘められた力とは、ひとつのアイデアや想像が、社会や人を動かしていくこと

デザインに秘められた力とは、
ひとつのアイデアや想像が、社会や人を動かしていくこと


goen 森本千絵


雑誌「Real Design」2月号にて、
「2009年のデザインは、この人に注目です。」との特集が組まれています。
http://www.sideriver.com/ec/html/item/001/047/item46242.html


その中で、佐野研二郎氏と森本千絵氏が紹介されています。

佐野研二郎


佐野氏の作品としては「LISMO!」や「Tブー!S」があります。
http://design-note.jp/sanoken/
作品からは「優しさ」や「POPさ」が強く伝わってくる。
デザインが生活者に語りかけているイメージを受けます。

森本千絵


森本氏の作品としては、Mr.childrenの「SUPERMARKET FANTASY
におけるジャケットや「エソラ」のPVがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E6%9C%AC%E5%8D%83%E7%B5%B5
http://www.dnp.co.jp/gallery/artist/c_morimoto/c_morimoto.html
作品からは「先進性」や「スタイリッシュさ」と共に
「計算された違和感」や「笑い」の要素があるように感じられます。

作品が生活者に語りかける


やはりクリエイター、作品(クリエイティブ)が語っているなあと思います。
どのクリエイティブもシンプルだけれども裏にロジックが通っている。


だから、生活者に響く。


クリエイティブがいかに大事か、という事を改めて感じさせる作品達ですし、
広告代理店の工程の中で、
「クリエイティブプランから適切なクリエイティブに落とし込む工程」
に対する付加価値はいまも昔も変わらず高いのだろうと思います。
ここは、CGMでは決して代替えできない部分です。


冒頭の森本千絵氏の言葉は然りだと思います。
先日引用した言葉を思い出しました。

デザインとは、伝えたいことを言葉によらず
ビジュアルだけを用いて表現することであり、
伝えたいことの核心が浮き彫りになるような
表現の仕方をする事である。


D&AD 初代会長/AD ジョン・コマンダー

で、本当にソーシャル系Webサービスは浸透するの?

めちゃくちゃざっくり分けると、下記のように感じていて、
各カテゴリー間にとてつもない壁がある気がしてる。
(こう分けてしまうのは、人間のラベル分けのようで
不快かもしれないけど、説明のため、このように表現します)

  • カテゴリー1
    • クックパッドを読むひと
    • mixiを読むひと
    • モバゲー・GREEを読む・やるひと
    • 価格comを見るひと
    • 好きなブランド、ほしいと感じているブランドのWebサイトを見るひと
    • Youtubeを見るひと
  • カテゴリー2
    • mixiに投稿するひと
    • クックパッドに投稿するひと
    • モバゲー・GREEに投稿するひと
    • @COSMEを見るひと
    • ニコニコ動画を見るひと


Web2.0が盛り上がって以降、
カテゴリー3にいないと、とてつもない機会損失をする気が
していたけれど、結局自分もあまり意義が見出せなくなってきた。


費用対効果として、時間の使い方として適切なのかな?と感じて、
時間配分を考え直そうと考えている。


カテゴリー3のひとはそこだけのコミュニティを眺めて、

  • 全部共有すべきだ!
  • クローズドなサービスは、オープンにすべきだ!
  • セレンディピティがめちゃすごい!

と思っている。(かくいう自分も)


一方、カテゴリー1、2のひとは、リテラシーの向上につれて、
カテゴリー3へ変化すると思われていたが、
一向に変化していないんじゃないかな。


事実、自分は2007年初めから意識してカテゴリー1、2のひとと
交流しているけど、mixiやモバゲーの外に出る気配は一向にないし、
カテゴリー3のサービスは、そもそも認知されていない。


個人的には、カテゴリー1、2の人が一般的な消費者像だと思う。


カテゴリー3のコミュニティ内でセミナーとかやって盛り上がり、
可能性ばかりを議論するんじゃなくて、
他のカテゴリーのひとをいかにカテゴリー3へ
引っ張ってくるか、を考えた方がいいのかもしれない。


でないと、そもそものマーケットサイズが小さいままだから、
ビジネスとしても広がっていきにくいんじゃないか?


ビジネスとして広がらなければ、開発者もHappyになりにくい。


だから、カテゴリー1、2のひとに対して、
明確なプレゼンをしていく事を担う役割が今後必要になるよなー
とか思う今日このごろ。

  • p.s.

ブログはホリエモンがマスメディアを経由して
認知を広げたが、それでもアクティブユーザー数では
mixiに全然勝てていないだろうね。
(放置ブログはたくさんあるけど)


また、ソーシャル系のWebサービスは
誰もマスメディアからアプローチできてない。


そこでというか、年末年始、GREEとモバゲーが
TV CMをバンバン流していた。


アピールしていたのはゲームがタダで出来る、ということ。
会員登録まではそれでいいと思う。


TV CMというマスメディアで、サービスを認知させ、
インセンティブとしてのゲーム提供で、会員登録の敷居を乗り越えさせる。


このプロモーションで12月、1月でどれだけユーザー数が
伸びたか、発表を楽しみにしたい。

ホンダ:ライフのエンゲージメント施策

写真はホンダ:ライフのメーター表示部。


エンジンかけるたびにメッセージが表示される。


誕生日、大晦日、新年。
ドライバーはイベントに合わせたメッセージを見て、無機質な自動車に親近感を感じる。


マーケティングの4Pの1つ、プロダクトは、エンゲージメント施策も取り込みつつある。
f:id:makoto_way:20090102123609j:image

プロジェクトマネジメントにもマネジメントの概念の適用は必須


年末年始、移動時間を使って、
管理としてのマネジメントの書籍を読みつつ、
プロジェクトマネジメントの復習をしています。


座学に徹する事ができる時間はありがたいです。
で、いくつか感じたことをメモしておきます。

プロジェクトの定義

  • 有期的であること
  • 独自性があること


PMBOKにおける定義

この定義で考えると、多くの業務が「プロジェクト」だと言えると思います。
「独自性」の度合いによって、プロジェクトマネージャに要求される
スキルセットは変わるでしょう。

プロジェクトマネジメントにも「管理」における概念の適用は必須


これ、当たり前の事ですが、強く意識されていないところだと
思います。


プロジェクトマネジメントにおいて、「管理」における考え方の習得は
必須だと感じています。


例えば、管理の5機能があります。

古典的なマネジメント理論にしたがえば、マネジメントの機能は
「計画」と「進捗管理」です。
管理過程学派の始祖であるアンリ・フェイヨールは、彼の著書である
『産業ならびに一般の管理』の中で、
管理とは「計画」、「組織化」、「指令」、「調整」、「統制」
の5つのプロセスであると定義しています。

「マネジメント」は管理することではない via 東洋経済オンライン


管理とマネジメントは異なるとするドラッカーの定義もあります。

ドラッカー氏は「マネジメントをその役割によって定義しなければならない」
とし,役割を三つ挙げている。


第一は,組織に特有の使命,目的を果たすこと。
第二は,仕事を通じて働く人たちを生かすこと。
第三は,社会の問題について貢献する,である。


まとめると,「組織の人たちを生き生きとさせ,高度な成果を上げる」
ことがマネジメントというわけだ。


マネジメントは管理とは異なる via ITPro


これら、管理とマネジメントの基本概念をプロジェクトマネジメントに
取りこむ必要があります。


それらをよりプロジェクトに特化した形でフレームワーク化したものが、
PMBOKですね。