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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

プロフェッショナルは自らの強みを売上につなげ、スペシャリストは強みを作った段階で満足する


プロフェッショナルとスペシャリストの違いについて。


知人の若きベンチャー社長がおっしゃっていたのは、
突出した強みを持っているだけでは、スペシャリストでしかない。
その強みを売り上げに結びつけてこそ、プロフェッショナルだ。
という事でした。


では、プロフェショナル足り得るにはどうすればよいか?と考えると3つあると思います。

  1. 最初に、突出したスペシャリストとしてのスキルおよび総合的な付加価値を持つ事。
  2. そして、そのスペシャリスト性がアウトソースされ、予算がつく事。
  3. 最後に、そのスペシャリスト性の必要性を相手に理解させるプレゼンテーション、そしてクロージングができる事です。

突出したスペシャリストとしてのスキルおよびバリューを持つ事


これは言うまでもなく、ナレッジワーカーとして付加価値が高い成果物や役務を提供できる状態でなければ、そもそも躓く可能性が高いです。
ただ、一般に誤解されがちなのは、この点だけが優れていればプロフェッショナルとして活動していけると考えられている事です。


実際には、スペシャリストとしての突出した度合いがある程度であったとしても、二点目、三点目のアクションが出来れば、まったく問題ないと言えます。

そのスペシャリスト性がアウトソースされ、予算がつく事


いくらスペシャリストであっても、それを企業がアウトソースするのかという視点と予算がつけられるのか、稟議が通せるのかという視点は欠かせません。


でなければ、そもそもビジネスとして成り立たないからです。


例えば、研究開発員の方などは業務機密性とその長期性により、アウトソースする事が難しいスペシャリスト性だと言えます。
一方、デザインやキャンペーンプランニング、新卒の人材採用の領域は固定費として自社に抱えると稼働率が下がる場合に、無駄が発生するため、その無駄を考慮して、アウトソースするという選択肢が十分にあるでしょう。

そのスペシャリスト性の必要性を相手に理解させるプレゼンテーション、そしてクロージングができる事


最後に、一番重要な機能ですが、そもそも自分の強みが何で、どのように貢献し、最終的に顧客にどのような利益/またはコスト削減効果を生み出すのか、をきちんとプレゼンテーションでき、かつクロージングする事が必要です。


この部分がないと結局売り上げにつながらないため、プロフェッショナルとは言えない、という事になります。


こだわり気質のデザイナーで営業先なく独立してしまった場合、この最後のポイントが抜けてしまうケースが多いようです。
その場合は、この部分を営業アウトソーシング会社なりと提携し、自らがこの機能をアウトソースするなど対応を練るとよいでしょう。

最後に


私自身は、プロフェッショナルを目指す、というキャリア構築を考えていましたが、今思うとスペシャリストの領域に留まっていました。
最近、もっとプロフェッショナルとしてきちんと振る舞わなければいけないなと痛切に感じます。


あるひとつの理想の組織の在り方として、
プロフェッショナルたる者たちが、自らの強みを最大化するために、
互いの強みを尊重しながら、協調し、ひとつの組織として働いている状態があります。
コンサルティングファームや会計事務所のような、いわゆるプロフェショナルファームと呼ばれる形です。


また、新会社法施行により、LLPのように会計や運営コストが小さく、利益を自由に分配できる形の組合を設立する事も可能になりました。


プロフェッショナルが活躍するフィールドはますます増えていくものと思いますが、そもそもプロフェッショナルとは何か?をしっかり考えていきたいと思います。

プロジェクトマネジメントの基本


プロジェクトマネジメントは簡単に使われつつも、以外と本質が理解されていない言葉の1つだろう。
本エントリーでは、PMBOK3版をベースに、経験に基づいた形でプロジェクトマネジメントの基本を記載していく。

プロジェクトマネジメントの3大要素


プロジェクトマネジメントの基本として、下記3点が挙げられる。

  1. 時間・納期
  2. 資源(ヒト、モノ、金、情報)
  3. スコープ・品質

これらをそれぞれという変数と見なすとそれらはすべて密接に絡み合う。


いくつかのパターンを挙げてみる。

  • 時間・納期を短くしするパターンに対する対応
    • 資源を増やす
    • スコープをせばめて対象範囲を少なくする
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)
  • 資源(ヒト、モノ、金、情報)を少なくするパターンに対する対応
    • 時間(残業)を増やす、納期を伸ばす
    • スコープをせばめて対象範囲を少なくする
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)
  • スコープを拡げるパターンに対する対応
    • 時間(残業)を増やす、納期を伸ばす
    • 資源を増やす
    • 品質を下げる(テスト工数を少なくする)


一般的に、プロジェクトマネージャはこれらのバランスを考えながら、それぞれの変数を最大化しつつ、リスクを最小化する道を判断し、進めていく。

プロジェクトマネジメントの9つの知識エリア


プロジェクトマネジメントの知識エリアとして、下記9点が挙げられる。

  1. 統合管理
  2. スコープ管理
  3. スケジュール管理
  4. コスト管理
  5. 品質管理
  6. 組織管理
  7. コミュニケーション管理
  8. リスク管理
  9. 調達管理


これらの知識エリアを兼ね合わせ、立ち上げ、計画、監視、終結のプロセスに合わせて、時間・資源・スコープを調整するための各施策を打つ。
このために必要なコストが、プロジェクトマネジメントコストである。


また、各施策を打つために、様々なナレッジが必要になってくる。
当然、プロジェクトマネージャー自身が統合できるだけのナレッジを持っている必要があり、不足しているようならそのナレッジを調達する手段を確保しなければならない。

プロジェクトマネジメントコスト


プロジェクトマネージャのコストの9割はコミュニケーションコストとされる。


それほどに各要素を統合し、マネジメントしていく事にはコストがかかるという事であり、プロジェクトマネージャの頭の中だけで、判断していくだけではなく、調整に時間をかける必要があるという事だ。
一方、プロジェクトマネジメントの経験がない場合、あまり理解されないコストでもある。


例えば、調整に関するコストに関して言えば、

  • プロジェクトメンバーの暗黙知、スキルセット
  • 組織の承認プロセスに関するコスト

が大きく影響してくる。それらのコストが小さければ、プロジェクトマネージャは他の箇所に工数を使う事ができる。

プロジェクトの成否とプロジェクトマネジメント


結果から見ると成功すれば、当然と見られ、失敗するとプロジェクトマネジメントがよくなかった。とされるケースが多い。
それほどに見えづらいプロセスであるため、プロジェクトマネージャは適切に評価されるために資料化し、見える化する義務を持つ。


プロジェクトマネジメントの成否は計画プロセス終了時点にてほとんど決まっているというほどに、立ち上げと計画プロセスは重要である。
もちろん、進捗管理などのプロセスである監視プロセスは大事だが、どちらかというと監視の結果、再計画を立てるPDCAサイクルの一貫として重要だと考えている。


なぜなら、計画プロセスが終了した時点で、スコープの調整、資源調達計画、WBSの策定、リソースの配備やリスクの把握は大体終わっているべきで、その精度が高ければプロジェクトは順調に進む。一方、精度が低いと監視プロセスにスケジュールやリソースに頻繁に変更が発生し、手戻りや過剰・不足リソースが発生。それらが余計なコストを発生させてしまう。

最後に


ざーっと書いてはみたものの、プロジェクトマネージャーの担当する範囲は非常に多岐に渡る。


現在、ほとんどの業務が有期性があり独自性があるという意味で「プロジェクト」と言える。
一方、しっかりとプロジェクトマネジメントしているのは極少数だと言えるだろう。
業界外に出てみて初めて分かったんだけれども、SIer業界は、プロジェクトマネジメントに対する意識と業務がかなり進んでいる。


少子化と経済縮小により、日本がグローバル化を進めていく過程で、ツーカーの効かないプロジェクトメンバーと共に働いていく機会はますます増えていく。
その時、プロジェクトマネジメントのスキルはより必要とされるだろう。

-サイバーエージェント2009年3Q:かなりいい形で事業ポートフォリオが組めている


http://www.cyberagent.co.jp/ir/result/2009/pdf/3q/3q_presentation.pdf


営業利益の半分以上をFXが稼ぎだす構図は変わらないが、Ameba事業の赤字が順調に減少し、今期黒字達成が濃厚。
既存事業も順調で、FX/広告/課金/メディアと事業ポートフォリオのバランスがかなり良いと感じます。
ネット系企業には珍しい。

  • FX事業:この1Qで会員数がかなり伸び、次1Qの売り上げに貢献しそう。
  • Ameba事業:増収しつつ赤字額を順調に減少させ、今期中の黒字達成は濃厚そう。アメーバピグも堅調です。
  • プーペガール事業:年商約9,000万円とこちらも他の課金事業と同様、伸びている。
  • リスティング事業:売り上げ低下していますが、減収は5%弱に留まり、かつ元々粗利率が低いため特に気にしすぎる事はない。
  • SEO事業:逆に粗利率が高いSEOは順調に増収。利益に大きく貢献しているものと想定される。

「UNIQLOCKを仕掛けたクリエイターに聞く広告業界のゲーム・チェンジ最新事情」に行ってきた

詳細な感想はまた今度書きますが、いくつか。


1.着想までの粘りと詳細なシナリオプランニング、そのチューニングが大事。
2.UNIQLO MIXPLAY->UNIQLOCK->UNIQLO CALENDARの着想までのプロセスに感心というか感動。
3.消費者インサイトだけではなく、きちんと届けるためにメディアインサイトとブランドインサイトも大事。


クリエイティブディレクターたるもの、

  • 消費者
  • メディア
  • ブランド
  • プロダクト

それぞれに対して常に考え、着想できるだけの材料を持っておかなければならない。
それは、トレンドだったり、使用感だったり、店舗の様子だったり、着心地だったりする。
案件が来たからどうこうでは全くもって遅い。


日頃、点の情報を集めているから面になって、キャッチできるんだなと改めて実感。
取ってつけた情報は所詮は浅いアイデアしか生み出せない。

広告のデザインとWebデザイン

広告のデザインとWebデザインには大きく2つの違いがあります。

  • 1点目は、ユーザーに情報を届ける、デリバリーに気を使わないか使うか。
  • 2点目は、枠が限られているかいないか。

広告のデザインはデリバリーにあまり気を使わなくて良い


広告のデザインにおいて、デリバリーには
ほとんど気を使わなくてよいと言えるでしょう。
そもそも、デリバリーは雑誌やTV局などメディアの仕事だからです。


また、表現する枠*1も限られており、その枠の中でクリエイティビティを発揮する作業になります。


もちろん、広告を誰に見てどうして欲しいか?は設計する必要があるので、
広告代理店においては、ストラテジックプランナー*2という職能がそれを担当します。


そして、どのメディアに出稿するのかを設計するのはメディアプランナーの仕事であり、
広告のデザインを担当するクリエイティブディレクターの仕事ではありません。
(最近はメディアありきのプランニングではなくなっており、コミュニケーションプランナ一などの職能を配置する広告代理店が出てきています。)

Webデザインはデリバリーのケアに多くのリソースを割かなければならない


一方、Webのデザインにおいては、デリバリーがまず重要になってきます。
でなければ、アクセスすらされないか、アクセスされてもすぐに離脱されるコンテンツになってしまいます。
また、枠も限られておらず、予算の許す限り、いつ何ページでもコンテンツを提供する事が可能です。


枠が限られていないという自由度の高さに関しては、うまい話ばかりではありません。
10年前に比べ、600倍もの選択可能な情報を手に入れたユーザーは
ますます自らに必要な情報にしかアプローチしなくなってきています。
携帯電話の通信高速化やコンテンツの増加により、情報量はこれからも増加をたどるでしょう。
その中で、Webというのは特に情報が氾濫している世界であり、
ユーザーのアテンション、トラフィック、滞留時間の奪い合いの世界とも言えます。


ユーザーがアクセスし、かつ離脱させない、または使われ続ける
サイト・サービスを提供するには、ユーザーが何を求めているかという
目線を常に意識し、進化し続けていかなければなりません。



具体的に言うと、バナー広告、TV CM、検索エンジンのキーワード広告、メールマガジン。
様々な経路から、様々な目的を持ち、アクセスするユーザー。
それぞれのユーザーの目的を満たすようなWebサイトを提供する事です。
また、その経路自体の設計までをWebデザインに織り込む事で、
ようやくWebサイトのコンテンツのポテンシャルが真に発揮されます。

Webデザインとインフォメーションアーキテクト


コンテンツの魅力だけでトラフィック、ページビューは集まりません。

  • ユーザーを知り、(ターゲットユーザーのインサイト分析)
  • ユーザーにサイトの存在そのものを知ってもらい、(経路分析、トラフィック獲得)
  • かつコンテンツがユーザーにとって必要なものである事(目的毎のコンテンツ設計)

をきちんと設計し、ユーザーに伝達しなければならないのです。


これらを考え、設計し、実装するのが、
先のエントリにて記述したインフォメーションアーキテクトの仕事です。


この職能は、情報爆発社会の中で、より重要視されていく資質となる可能性が高い
ものと思われます。


ECサイトであれば、インフォメーションアーキテクトの力量が売り上げを大きく
左右する事となるでしょう。

*1:TV CMなら15/30秒, 雑誌や新聞なら1/2(見開き)ページなど

*2:ターゲットユーザーのトレンドを熟知し、消費者インサイトを発掘する作業を担当

情報のデザインとインフォメーションアーキテクトという職能

装飾と情報、2種類のデザイン


デザインには主に2種類のタイプがあります。
装飾のデザインと情報のデザインです。


前者は職能としてのデザイナーが得意とする分野で、
デザインにおいての専門知識が要求されます。


後者は職能としてのインフォメーションアーキテクトが得意とする分野で
ターゲットユーザーの分析、ユーザビリティ、コミュニケーションを通じて、
ターゲットユーザーに対する導線設計を元にした
コンテンツの配置やナビゲーションの設計、検索エンジン対策、
流入経路に対して最適化されたページの設計(広義のLPO対策)、
KPIの設計などを行っていきます。
用いるツールやドキュメントもデザイナーとは大きく異なります。


実際のところ、インフォメーションアーキテクトはまだ新しい職能であり、
認知度は低いですが、Webサイトの成否を分ける重要なタスクを担う職能
と言っていいでしょう。
なぜ、Webサイトの成否を分けるのかは、次回のエントリに記載します。


インフォメーションアーキテクトがその職能を存分に発揮する
情報アーキテクチャ設計・実装の領域に対し、チャレンジされているビービットは
順調に業績を伸ばし、ネットイヤーは上場を果たしました。


ビービット、ネットイヤーともにコンサルティングファーム出身者が
少なからずいるように、ファクトベース・仮説思考型の高度な分析能力を
必要とする職能と言えるでしょう。

インフォメーションアーキテクトの職能


抽象的な言い方をすると
・情報アーキテクチャの設計・実装に関する各種タスクを遂行可能な事
がインフォメーションアーキテクトの職能と言えます。


とはいえ、「情報アーキテクチャ」自体にピンと来ない人が多いかと思いますので、
ネットイヤーのWebページにあるインフォメーションアーキテクトの要件を紹介します。

  • 職務内容

ディレクターから示されたクリエイティブコンセプト、表現方法の指針をベースに、
そのクリエイティブに託された目的を達成するための、
もっとも効果的なユーザーの体験シナリオを策定し、
そのシナリオを実現するためのナビゲーションおよびインタラクションの方法を提案します。
具体的には、サイト構造、画面仕様、ユーザーインターフェース仕様の作成を行います。

  • スキル
    • ユーザーシナリオ作成能力
    • 情報構造、ナビゲーションの設計に関する知識と経験
    • UI設計に関する知識と経験
    • コミュニケーション能力
    • プレゼンテーション能力
    • ディレクション能力


http://www.netyear.net/career/information_architect.html


ビービット、ネットイヤーともにコンサルティングファーム出身者が
少なからず在籍しているように、ファクトベース・仮説思考型の高度な分析能力を
必要とする職能と言え、感性で勝負するデザイナーとは使う脳が異なる
と言えるでしょう。


次回は、広告のデザインとWebデザインの違いについて記載します。

V字回復の経営(三枝匠著)



今更ながらに「V字回復の経営」を読んでいます。


日産のカルロス・ゴーンさながら、大企業化した企業を再建(ターンアラウンド)していく過程を
ご自身の体験を重ね合わせながら書いています。


私自身、大企業に勤めていた事もあり、非常によく分かりますね。


本来、現在の戦略や経営を否定してクダをまき、ダベって終わるのではなく、
実質的な改善策を提示し、それが事業にインパクトを与えるほどの説得力を持ち、
かつ周囲を巻き込んでいかなければならないのですが、
その深さまで考えている社員は、自分も含めて稀だと言えます。


具体的にどういった改革プロセスが行われていったのか。
経営陣からのトップダウンな指揮が必要な事が多いため、
実行に移せるかは別として、参考にはなるかと思います。


戦略立案、実行指揮、管理のそれぞれを全うする事は
非常にタフネスな作業である事が分かります。


三枝氏の書籍は「戦略プロフェッショナル」を初めとして良著が多いので、
是非ご一読をおすすめします。


マインドの観点ではなく、(特にコンサルティングアプローチとして)実践にすぐに役に立つ内容が掲載されている
という点では大前氏の著書とは違う視点で非常に参考になる点が多いです。


他、分析という点においては、後正武氏の著作がおすすめです。