塾が行うべきサービス
塾と塾講師が生徒に対して行うべきサービスを考えてみる。
当たり前すぎるんだけれど、ミッションとして、
- 生徒の成績を上げること
だろう。生徒と共に、出資する親もそれを一番期待している。他にも
- 勉強するための機会を提供すること
- 塾内に学校以外の切磋琢磨する仲間との出会い
があると思うが、それをPushする塾は少ない。
私は、「機会を提供する」という事も塾の重要なミッションだと
考えているが、それは他塾との差別化要因にならないため、
軽視されることが多い。
しかし、親、生徒共に意識させておくべきだと思う。
さて、成績向上を実現するために何が必要なのだろうか?
- 試験でいい成績を取るために
- 授業による教え込み
- 勉強自体を楽しんでもらうために
- 問題を解ける楽しさ、達成感を味あわせる
- 勉強、教科に対する苦手意識をなくさせ、自信へと変える
- 勉強を継続する仕組み作りのために
-
- 恒常的に勉強する意識付け、スケジューリング管理
などだろう。
また、私自身の付加価値として以下を提供してきたつもり。
- 科目自体の目的:
- 各教科が将来、何の役に立つか。どういう職業に必要かという情報の提供
- 同じ事を短時間で習得するための情報:
- 脳の仕組みはこうなっているから、こう勉強すると記憶力が高まるなどのアドバイス
- プロセス思考の徹底:
- 学校のような受身的な授業ではなく、個別ならではのひとつひとつを問いかける授業
- メリハリの徹底:
- 目標時間を決め、インターバルを置く。世間話を挟みつつの授業
講師時代の経験から話してみよう。
- プロセス思考の徹底
私は、生徒に宿題や問題をやらせたとき、答えに間違いがあると、
問題を一緒にたどりながら生徒がこの問題のどこでつまづいたのかを
ツリーをたどるように特定していく。
そして、その要因をノートの横に記述し、生徒に認識させ、
テストなどの前に見直せる形にしていた。
間違えたとき、「○」「×」だけでは人の記憶には残らない。
大切なのは、「どのように考え、何につまづいたのか」を知ること。
生徒の思考プロセスに踏み込んだ理解である。
そうまでして初めて、コミュニケーションといえる。
- 勉強自体を楽しんでもらうために
また、生徒が苦手な分野は、わざと簡単な問題を集め、それをやらせたりした。
そうすることで、最初の障壁を取り払ってしまうのだ。
生徒に自信をつけさせることは重要だ。
一度、英語の実力はあるが、点数が伸び悩んでいたある生徒に対し、
ある英語のテストに関してグラマーの優先度を上げて勉強させ、
リーダーの優先度を下げた。
結果、いつも平均点に届くか届かないかくらいの生徒が二問のミスだけで、
グラマーで92点の高得点を取得したのだ。(リーダーは平均に届かない程度だった)
それ以来、その生徒は英語に対して「私もできる!」
という自信を持ち、点数が平均以上で安定するようになった。
講師はクライアント(生徒)とのインタラクティブ(双方向)のやり取り
であり、ダイレクトな反応が得られる。
塾長になると一段離れた部分から見なければならないので、
会社でいうと部長のような位置づけになるだろうか。
塾長と講師は与えられた役割が違い、塾長は
- 塾全体の色、雰囲気の向上・統一
- 生徒のクレーム対応
- 講師に対する生徒の評価収集
- 講師へのマネジメント
など、塾全体をよくするための対応にあたることになる。
経営と同じで、塾講師の質だけでなく、塾長の質も良くないと
サービスの質がばらつくため注意が必要だ。
インタラクティブという点で、サービスの提供価値を考えなければならなかった
塾講師としての経験は、学ぶ点が多かった。
居酒屋やコンビニとは違い、顧客の母数が少ないだけに、
自分の提供するサービスを生徒(顧客)が見限ると容赦なく講師を変えられ、
バイトの時間が減っていくからこっちは必死だ。
(第一、悲しい気持ちになる)
そういった意味で、塾講師は「自己責任」を意識せざるをえない。
講師の経験は、確実に自己成長につながったと感じている。
給料的には恒常的な残業で他業種と大差ないが、やっていて良かったと思っている。