感性を磨く
小説「天使の卵」を読んだ。
村山由佳さんの作品は気になりつつ、今回初めて読んでみた。
主人公の心情や情景がすっと入り込んでくる。
主人公と彼女が初めて会ったプロローグからぐいぐい引っ張られた。
大げさではなく、ただ不器用な、普通の人間の感情。
まっすぐな彼女への想い。
これだけ心を動かされた小説は久しぶりだった。
新人賞の選考委員の言葉としてあとがきにこう書かれている。
「よくこれだけ凡庸さに徹することができると感動するほどだが、
ひょっとすると、そこがこの作家のある才能かもしれないのだ。」
言葉はあまりに雄弁でそして、直接的で、ニュアンスや情景を
「伝えること」は本当に難しい。
だから、読みながら心情や情景が次々と写る作品は、価値がある。
漫画は静止画を見せられるから、伝えやすい。
小説は伝わりにくいことに価値がある。
でも、読みながら、その「間」を埋めるため、想像をし、感情を重ねる。
それはあまり周知されていないが、感性を磨く大切な方法だと私は思うのです。
あなたの感性を磨いてきたものは何ですか?
- 作者: 村山由佳,村上龍
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/06/20
- メディア: 文庫
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