就職活動を成功させるために意識すべきこと
就職活動もピークを迎えつつあるこの季節。
今回は、志望動機とアピールのポイントについて書きたいと思います。
- ステークホルダー((利害関係者のこと))を理解する
採用試験を受けるにあたって、意識すべき相手は以下の3点に絞られます。
- 自分
- 競合(他の受験生)
- 企業(顧客)
就職してから2年間、学生の就職サポートをしてきましたが、
(2)と(3)に重きを置かない学生がとても多い事実に気づきました。
多くの学生が悩むのは
- 自己アピールはするけど、それが他の受験生とどう差別化できているのか掴めない。(対競合)
- 自分をアピールすることは得意だけれど、それが会社にとってどんなメリットを生むのかうまく説明できない。(対企業)
- 入社後、どんな仕事をやるのか具体的なイメージが掴みきれていない。(対企業)
- 同じ業界で企業ごとにどういった差異があるのか分からない。(対企業)
などになります。
では、こういった悩みに対して、どういった打開策を打っていけばいいのでしょうか。
考えてみましょう。
まず、「採用するのは誰か」を意識してみてください。
そして、採用担当者に成り切ってみてください。
どんな人材が欲しいですか?
例えば、あなたが東京三菱UFJ銀行の人事担当者だとしましょう。
- 金髪の受験者を採用したいと思うでしょうか。
- 声が小さく、ぼそぼそとしゃべる人を採用したいと思うでしょうか。
- 「5年後に独立したい」と声高に面接で言う人を採用したいと思うでしょうか。
- 接客業のアルバイトの経験がある人を採用したいと思うでしょうか。
- 友達がたくさんいる人を採用したいと思うでしょうか。
- 数々のリーダーとしての経験がある人を採用したいと思うでしょうか。
- 凛としている人を採用したいと思うでしょうか。
- 簿記1級を持っている人を採用したいと思うでしょうか。
- 親が地域の有力者である人を採用したいと思うでしょうか。
並べて書いてみましたが、どうでしょう。
ここで、しっかりと意識しておいて欲しいことがあります。
企業から必要とされるスキルは、必要条件と十分条件に分かれるということです。
- 必要条件
- その企業で働くために必ず必要な素養やスキル
- かつ、入社後に身に着けることが難しいもの
- 十分条件
- あると競合(他志望者)に対する優位性となるが、入社後でも獲得可能なスキル
これらを意識し、うまく使い分けることが必要です。
前提として、東京三菱UFJ銀行の人事担当者の身になって考えてみましょう。
上の例で言えば、(1)(2)(3)は必要条件を満たせていないことになります。
逆に(4)(5)(6)(7)(8)は入社時、必ずしも必要ではありませんが、あると有利になるものです。
これは、前提が銀行の担当者でればというケースで、ベンチャー企業なら「5年後に独立したい!」
という志がプラスになる会社もありますし、金髪でも全然OKな場合もあります。
必要条件と十分条件のどちらをアピールすべきか。
答えはもちろん十分条件の方です。
ベンチャー企業で「行動力がある」、コンサルファームで「論理思考力」とアピールするのは
もったいないと思います。
それは、必要条件だからです。*1
つまり、それは「当たり前」のことであって、アピールすべき項目ではないのです。
また、自己アピールで「コミュニケーション力がある」とか言う人が多いですが、
友達に対するコミュニケーションとビジネスにおけるコミュニケーションは
似て非なるものです。
面接官に対して、自分を適切にアピールするのもコミュニケーション能力の一端ですし、
飲み会に呼び出して、ビジネスコミュニケーション能力を試す企業もあるようです。
私の友人には、「打たれ強いです。」と言った途端にエントリーシートを目の前で破られ、
泣いてしまった女の子もいます。(もちろん、コピーだったそうですが)
でも、そうアピールするならば、そこでぐっとこらえる必要があるのです。
本当の優位性とはそういったものです。
企業は一般的な仕事の必要条件である処理能力やコミュニケーションスキル、論理思考力
などをSPIや面接での会話を通して見て来ます。
そこでは、大きな差はつきません。
競合である他の受験者に差をつけるべきはそこではなく、
「他人にはない企業にとってのあなたの魅力」をいかにアピールするかなのです。
(「企業にとっての」というところが大切なので、意識してください。)
では、それをどうやって見つけ、訴求するのか。
これを次回、考えたいと思います。
※就職の本質を探るでも書きましたので、ご参考ください
*1:知り合いのコンサルファームのマネージャは、論理力をアピールする志望者は徹底的にロジカルに追い詰めるとおっしゃっていました。。