SI(≒受託開発)とファイブフォース分析(5. 供給業者)
前回のエントリに続き、SIビジネスをファイブフォース分析してみる。
ファイブフォース分析の5つの視点
- 新規参入
- 敵対関係
- 代替品
- 買い手
- 供給業者
シリーズ最後のエントリとして、以下について述べる。
5. 供給業者
- 供給業者の脅威
以前はメインフレームからDBまですべて自社製品でまかなっていた。
例えば、IBMならIBMのメインフレームがあり、それとセットでDBがあった。
これは、富士通だろうがNECだろうが同様である。
そのため、供給業者の脅威はほぼなかったといえる。
しかし、オープンシステムになって以降、ダウンサイジングが進むと共に
ソフトウェアベンダからソフトウェアの供給を受ける必要が出てきた。
例えば、HPにおけるHP-UX(OS)やOracleにおけるOracle10g(DB)などである。
IBMも自社でAIX(OS)やDB2(DB)をプロダクトとして持っている。
SIerにとって、供給業者はHPやOracle、IBMなどになる。
この流れの変化から、SIerにとっては、顧客のソリューションに合わせて、
製品を選ぶ必要が出てきた。
そして、そのソフトウェアの組み合わせに合わせて、
各ソフトウェアベンダのテクノロジーを習得する必要が出てきた。
その習得のコストはSIerが負担する事になる。
また、障害に関しても自社のナレッジにないものはソフトウェアベンダの回答を
待たなければならない。
供給されるソフトウェアのコードは、社外秘の情報を含むため、
SIerから見ると非公開、つまりブラックボックスである事が多いからだ。
自社内で原因追求しようにも、どうにもできないわけだ。
それがプロジェクトにとって重大な障害であれば、
プロジェクトは止まり、人員の稼働率は下がる。
しかし、ソフトウェアベンダにはその損失は請求できない事がほとんどである。
そして、供給業者はソフトウェアを逐一アップデートし、古い製品の保守契約を切り捨てる。
SIerがせっせと勉強し、経験して手に入れた知識もソフトウェアのアップデートにより、
陳腐化する。
まとめると「習得」、「障害」、「アップデート」に関して発生するコストにおいて、
SIerは製品を押し付けられているにも関わらず、不利なのである。
これらが、供給業者に対する脅威である。
この分野は、SIerにはコントロールできない。
次のエントリとして、SIビジネスに対する脅威をまとめ、
SIビジネスの方向性を自分なりにまとめてみたいと思う。