サービスのローンチと企業文化
ベンチャー企業に転職する際、職種もエンジニアから営業系へ変わる
という事もあり、10社以上の企業にアプローチし、面接を行った。
既にマザーズ市場へ上場している会社もあれば、CGMなどの
新規事業で伸び盛りの企業もあった。
そこで感じた事は、
ローンチした事業企画自体はトップマネジメントから出た
という会社が多かった。
という事だ。
確かに事業経験を重ねている場合が多いトップマネジメント
の方が勘どころがあるし、きっちりした事業モデルが描けるのは
事実だが、せっかくベンチャー企業に入ったにも関わらず、担当が
アイデアを出せていない(出しているかもしれないがローンチまで
もっていけていない)というのはなんだか物足りない気がした。
何名かの取締役、そして社長に面接していただいたが、その発言の中で
1つすごく気になったものがあった。
「ローンチしたサービスが安定的に収益を上げるようになってきて、
ベンチャー企業らしさが失われてきたんだよね。
だから、いまそれを取り戻すべくあるプロジェクトを実行しているんだ。」
彼のこの言葉は何を意味していたのか。
これは、自社のカルチャーの変化に対する危機感に対する発言であったと思う。
イノベーションはハイテク企業に限らずどんな企業にも大切なもの。
そして、新しいアイデアは経営者だけが考えるものではなく、
従業員全員が考えるべきものである。しかし、新しいアイデアを
口に出すというのは多くの人にとってかなり勇気のいること。
斬新なものであればあるほど、「それはないだろう」と
全面否定されるのがこわくなるのだ。誰かが新しいアイデアを出すと、すかさず「それは○○が過去に
やって失敗したよ」「それはあまりにも常識はずれだ」
「もう少し良く考えてから提案すれば」と水を差すような発言
ばかりする人がいる。
経営者として意識すべきなのは、その手の発言がどのくらい
企業カルチャーにダメージを与えるかを強く意識することである。
そんなネガティブな発言ばかりを言う人が大きな顔をしていられる
会社ではイノベーションは起こらない。
会社のカルチャー作りの大切さ 「Life is beautiful」
新規事業を立ち上げるとき、それが世になく、新しいものであれば
あるほど、それが描いたモチに終わる可能性は高い。
そこで周りから否定的な意見を言われ、しっちゃかめっちゃかになり、
予算やリソース投下の許可が下りなければ、せっかくのアイデアは
陳腐化する。
しかし、アイデアの最初の段階では、あまりに稚拙だったり、
抽象的だったりしたとしても、そこで周りの有識者の知恵を注入する事で
アイデアが真の価値を帯びる事もある。
そのために必要となってくるのはそれを祭り上げようとする会社の
カルチャーである。
そして、その事例が基準になり、次から次にチャレンジするものが
出てくる。
そして、カルチャーは社員の思考回路にアンテナを立てる。
これは継続的な競争力の源泉になり得る。
こういったカルチャーをうまくつくっているのではないかと
思われるのがGoogle(プロジェクト制度)であり、リクルート(New-RING)であり、
サイバーエージェント(ジギョつく)ではないかと思う。
そんな意味で、次にベンチャー企業をゼロから立ち上げ機会があると
したら、カルチャー作りだけはきちんとやろうと考えている私である。
自分たちの価値観(value)とそれに基づく行動規範(norm)を
会社立ち上げ時に明文化し、常にそれを意識しながら仕事をし、
人の採用もする。
どんなにすばらしい企業戦略を持っていようと、それを実現するのに
ふさわしいカルチャーを持った組織を作ることができなければ
宝のもちぐされである。
会社のカルチャー作りの大切さ 「Life is beautiful」
50人程度の小さいベンチャーに入ったのは、
こういったイメージできなかった事をイメージするためであり、
イメージするためにまずは体感するためだ。
今、まさに弊社の人事取締役がこのカルチャーづくりにおいて、
メスを入れている段階であり、少しづつそれは変わってきている。
彼が採用した来年の新卒から、そのカルチャーの浸透は加速
するだろう。
それまでに舞台を整え、新卒が入社する事で起こるゆらぎを
楽しみにしたい。