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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

SI(≒受託開発)とファイブフォース分析(3. 代替品、4. 買い手)

前回のエントリに続き、SIビジネスをファイブフォース分析してみる。

ファイブフォース分析の5つの視点

  1. 新規参入
  2. 敵対関係
  3. 代替品
  4. 買い手
  5. 供給業者


今回は、以下について述べる。
3. 代替品
4. 買い手

  • 代替品の脅威


SIにおいて、成果物はいくつかのカテゴリに分けられる。
以下、「ハードウェア」、「OS」、「ミドルウェア」、「ドキュメント」、
「プログラム(サービス)」、「保守運用サービス」に分けて記述する。


・ハードウェア
メインフレームに対するオープンシステムがまさに代替品の脅威
であったが、現在は置き換えが終わり、さほどの脅威はない。
IBMメインフレームを手放さず、投資し続けた事で、独自の優位性を築いた)
IBM、HPなど外資勢、国内大手電気メーカーは高水準でサーバーを販売できている。


・OS
MS、Unix陣営にとってはLinuxという代替品の脅威がある。


SunはLinuxの登場によって、大きな打撃を受けた。
サーバーの販売数もLinuxによって、影響を受けている。
IBM、HPなどはLinux搭載用サーバーを販売し、変化に対応した。


・ミドルウェア
アプリケーションサーバやDBなどミドルウェアにおいて、
OSSという代替品の脅威がある。
例えば、WebSphereに対するJBOSS、Oracleに対するMySQLPostgreSQLなどである。


・ドキュメント
プログラムやシステムの仕様、マネジメント用資料の事である。


クライアントと共に仕様を詰め、日本語でドキュメントに落とし込む
必要性があるため、代替は進んでいない。
しかし、レガシーマイグレーションに限っては、仕様がほぼ確定しており
仕様ずれのリスクが少ないため、海外勢も参入してきている。
この場合、日本語の仕様書は、ブリッジSEなどが作成している。


・プログラム(サービス)
このカテゴリの代替について、日本は遅れており、いまだ受託開発がメインである。
一方で、欧米では競争優位性とならない(人事・総務系、もしくは他が既に実施している)
システムについて、SaaS、パッケージ化し、競争優位性を保つべき部分に集中して、
IT投資をする動きが強まってきている。


日本は現場の声が強く、詳細に仕様を作りこみすぎているきらいがある。


・保守運用サービス
OSSを提供している会社は、ほぼここの収益がメインである。
例えばJBOSSなどだが、SunもLinuxの登場により、Solaris(Unix)のビジネスモデルを売り切り
から保守運用による課金形式に切り替えた。


保守運用サービスはベンダにとって、契約に沿った安定した収益であり、要である。
だが、各変化により、CIO指示による全社的なBPOやインドのベンダなどのコスト競争により、
リプレースされようとしている。

  • 買い手の脅威


・ビジネス機会
クライアントからのRFP(もしくは予算)がないと始まらないSIは、
受注側にとって極めて不利である。
「人を遊ばせて稼働率を下げるくらいなら」と無理やり案件を
取りに行ってプロジェクトが燃えるのは結構ありがちかと思う。


・主導権

  • クライアントはクライアント側でシステムをコントロールしたい
  • SIerはなるべくSIerの側でシステムをコントロールしたい

という点で、既にせめぎあいがある。


以前は前者のソリューションがなかったため、後者に依った
システム開発が行われてきた経緯があるかと思う。
例えば、メインフレーム富士通にすれば、システム開発から運用まで
富士通に依頼する(しかない)といったものだ。
しかし、前者のソリューションが現れた。


それは大きく3点。「オープンシステム」と「OSS」、
「インターネットの登場による知の一般化」である。


これらの変化により、以下の現象が起こっている。

  • オープンシステムにより、プラットフォームにおけるベンダー依存度が弱まった。
  • OSSにより、クライアント側でベンダ非依存の開発フレームワークの開発が可能になった。
  • クライアントとベンダ間のシテム開発周りの知識格差が少なくなった。