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元SIerの今はWebビジネス中心なヒトが日々のトピックを綴ります。

復活したホリエモンの視点


ITProにホリエモンのインタビューが掲載されていました。
目新しい視点は特にないのだけれど、本質を突いていて面白い。
気になったところをピックアップします。

沈黙を破ったホリエモン,ITを語る


当時のテレビ局はURL等ネットに誘導するものを表示する時間を
かなり制限していたし、そもそもスポットCMは既に費用対効果を
考えれば割高で、売れ残りの枠もかなりあったはずです。
それをテレビ局はいわゆる「番宣」という自社広告に使っています。


この部分がテレビ局を買収すればタダでついてくるわけです。
つまり、連結すれば、CMを出稿するのに比べ、営業費用を抑えることが
できると考えたわけです。



メディアの主流はテレビからネットにシフトしつつあります。
なぜかというと,テレビには双方向性がほとんどないからです。
双方向性のあるコンテンツは「Mixi」の人気を見れば分かるように,
第三者から見ても特に面白くない普通の人たち同士の会話の方が,
有名人ばかりが出演しているテレビをだらだらと見ているよりも,
面白いという人たちが増えているからです。


逆にネットのそういう部分を知らない人たちが,仕方なくテレビを見ている。
いや,彼ら彼女らは,「仕方なく」とも思っていないのかな。
当たり前のようにそれを見ているだけです。



ソニーが魅力的だったのは,音楽と映像のコンテンツを保有していること。
それにオーディオ機器やモバイル,有機ELなどの技術。金融商品もあり,
FeliCaの技術もある。逆にいらないと思っていたのは,大型テレビなどの
家電製品で,中国の家電メーカーに売却するつもりでした。
ゲーム機事業もいい時はいいが悪い時のリスクが大きいので,
マイクロソフトに売却してしまえばいいと考えていました。



僕には「技術力がある」という意味がよく分からない。
技術よりかは,アイデアと実装でしょう。



自分がダメなプログラマであるというコンプレックスが邪魔をして。
プログラマはサーバーを1台増やしたから速くなったというところではなく,
自分のプログラムによって速くなったと言いたいところがあるんですよ。
そうじゃないと,誰も誉めてくれませんし。
Googleの思想はむしろ,プログラマとしてはスマートではないんです。



今は「技術屋」の出番じゃないでしょう。
コンテンツやサービスを考える人が活躍する時代ではあるけれど。



 世間からは「虚業だ!虚業だ!」と叩かれ,僕が逮捕されたとき,
みんながみんなライブドアは潰れると思っていたでしょう。でも僕は,
絶対に潰れないと確信を持っていた。一時的に売り上げは落ちるけれど,
借り入れもないし,単なる叩かれすぎの風評被害だったわけです。

ソニーを買収しても、iPhoneは出せない


ライブドアがソニーを買収したとしても、iPhoneは出来なかったでしょう。
というのは、ソニーがiPhoneを出せなかったのは事業形態というか
マネジメントの問題であるためです。
私個人もソニーがコンテンツとハードウェア/ソフトウェアを
統合した新しいスタイルをつくると思っていましたし。


何より金でソニーを買ったとしても、ソニーのエンジニアは
モノづくりの人間、理屈ではなくそのやり方を嫌うでしょうから。

技術よりかはアイデアと実装


ギークだけたくさんいても、意味がない。
そこにアイデアがなかったり、市場性がなかったり、
ビジネスプランがなかったり、マーケティングプランがなかったりするから。


そうなってしまうと、自己満足で終わってしまう。
だからといってギークを批判するのではなく、カバーする人材を
アサインすればいいだけの話。


「ギーク」「スーツ&ギーク」「スーツ」っていう3パターンの人材
が揃った時に、イノベーションは加速するという仮説を持っている。


それぞれが、それくらいスキルフルな仕事なのだから。

Googleの競争優位性はインフラ


Googleは彼らのビジョンである「世界の情報を整理しつくす」
ためにそのインフラがつくられているわけだ。
彼らのやりたい事は、単純な検索エンジンではない。


よって、それをプログラミングのみで最適化しようとか
アルゴリズムのみで最適化しようというのは無理がある。
スケーラビリティと汎用的な適用を考えると、
インフラ技術でカバーする事が最適。


そのビジョンは「情熱」であり、ビジョンそのものも「アイデア」と言える。
ビジョンを達成するための「アイデア」として

  • ビジョンに適したページランク(アルゴリズム)
  • ビジョンを適したインフラ

があり、そのアイデアの「実装」として、プログラミングやインフラ技術を
用いたわけだ。
こういう本質的な部分は、残念ながら見過ごされる事が多い。


例えば、Dellは、ユーザーが指定された部品を組み立てる
Built To Order(BTO)が競争優位性だと考えられてきましたが、
そうではなくグローバルに最適化されたサプライチェーンを築きあげた事が
Dellの競争優位性なのです。


だから、配送にかかるリードタイムも在庫保持期間も驚くほど短い。


いかに初動が大切かという事です。
競合が知覚したときには、既に追いつけないほどの競争優位性を
築く必要がある。
「アイデア」だけでは競争優位性なんてほとんどなく、
そのビジョンに基づいた「実装」とのペアがあり、
初めて競争優位性となるんだと思う。


と、考えると中長期的な視点に基づく「実装」に、自然と方向づけられる。
よって、逆にスタートアップ時期からボーンと上り調子には
いかない可能性も高い。


が、そこでいかに耐え踏ん張り、「実装」を大事にするかが、
果てなき競争優位性につながるのかもしれない。